真実の中にこそ醍醐味あり
先日、他者のツイッターのつぶやきを見ていたら、或る血統理論について「大いに影響を受けた」と書かかれていました。
それを見て、面白くなければ誰の興味も引きつけられないということに気づきハッとしたのです。
さらに、その人のツイッターを見て思ったのは、血統理論について通常の競馬ファンは「真実」より「醍醐味」を優先しているのではないかということです。
つまり、あくまでSFにすぎない仮説を真実のように巧みに思わせてしまう内容に仕上げたものにこそ、ファンは「大いに影響を受けてしまう」のではないでしょうか。
これは、ギャンブルに惹かれる人は単なる金儲けが目的ではなくて、スリルを味わうエンタメ要素を求めているということとも相通ずるような気がします。
先日、私の書いたことが誤解されて伝わっていることがありました。科学的事実として書いたことが、全く違う解釈がされてしまうことは、
正直なところかなり悲しいですよ……。特にツイッターなどは、読み手は速読(斜め読み)するので、可能な限り明確に誤解のないように書かないと、
リツイートされる過程で、自分が言いたいことと違う趣旨で伝搬されてしまうのです。
例えば私が「AはBより濃い」と書くと、「堀田は絶対にAと言っていた」なんて感じです。
別な機会で何度も申しておりますが、生産者は真実(現実)から目をそむくわけにはいきません。インブリードの効果を語る上でも、
ファンは競走馬として大成した馬のみを対象に論じていますが、近交弊害による非健常馬が生まれるリスクを含めて生産者は全ての現実を念頭に置かねばならないのです。
「真実」には都合の良いものと悪いものがあります。しかしそれはどちらも「現実」であり、受け入れねばなりません。しかし、或る人が或る理論に対して「影響を受ける」とか
「惹かれる」とかいう言葉を用いた場合、その裏には、都合の良いもの(または自分好みのもの)を恣意的に選択してしまっていることが意味されているのではないでしょうか?
『おもしろい! 進化のふしぎ ざんねんないきもの事典』(今泉忠明 高橋書店)という本がベストセラーのようです。
これは、普段私たちが「この動物はこうだ」と思っていたことが実際は違う……しかしその違いの部分にこそその動物の本当の魅力があるというような内容ですが、
そこで思ったのです、「真実の中にこそ醍醐味あり」と。
(2018年4月8日記)
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