久しぶりの市販誌への寄稿で思ったこと
久しぶりに市販誌から寄稿依頼を受けたので、頑張って毎週書いているこのコラムも一週パスしました。
不特定多数の目に留まるパブリックな書物に寄稿するということは、その読み手全般に対してその内容に関して確実に責任を負わなければならないといつも身を引き締めます。
このように、外部の媒体への寄稿と自費(自己)出版のように全てを自分で行うものとは、心構えの点も含めてかなり違う部分があります。
例えば、言及する事がらに関するファクトチェックや、他者の文言や画像を引用する場合の著作権などは、寄稿先の編集部でもチェックをしてくれるわけであり、非常な安心感があります。
一方で、今回の原稿でも 「遺伝」 という科学現象に触れているのですが、こちら にも書いたとおり、「科学」 とは、
昨日正しいとされたことが今日は間違いとされることの残酷なる繰り返しの歴史でもあり、新たな事実が発見されたことなどを後日補足したいこともあるのが実際です。
けれども、外部の媒体に寄稿したものについては、そのようなフォローができないことがいまいち辛いところなのです。
その反面、自費(自己)出版したものは、あとで訂正箇所があったとしても、自らのウェブサイトに随時掲載したりと柔軟に対応できるのが良いところです。
確かに自費出版は全責任を独りで負うので、別の意味でのプレッシャーはかなりあります。
著作権にしてもそう。例えば こちら は拙著 『サラブレッドの血筋(第2版)』 の抜粋で、
ここに引用掲載しているのは、日本軽種馬協会の機関誌 『JBBA NEWS』 からのものです。
著作権法では、一定の要件を充たせばこのように他者の著作物を引用することを容認しています。
その主な要件は、@公表されているもの、A改変しない、B出所を明示、C引用範囲の明確化、
D自著が 「主」 で引用物は 「従」 であること(あくまで参考として引用したことが明確であること)、などが挙げられます。
よって、もしも軽種馬協会が私の書物にクレームを言ってきたとしても、私は法的側面から十分に抗弁する自信があります(笑)。
さらに、今回の原稿のようにちょっと難解な科学の話を散りばめたものは、どこまで噛み砕いた平易な表現にするか(できるか)、
どんな図を挿入すれば読者に理解頂けるかが悩むところであり、編集者とはいつも協議をします。
可能な限り平易な表現にはしたくとも、そうするとやはり、言いたいことの肝の部分が伝えきれないジレンマにも陥り、その落としどころを見つけるのは毎度毎度苦労するのです。
今回の原稿にはメンデルの 「分離の法則」 の話を入れたので、読者の理解を促す図を挿入したいとの編集部の希望で、私の手書きのものを作って編集部に送ったのですが、
これがイラストレーターに渡り、果たしてどんなイメージのものにでき上がってくるのか?? 楽しみと不安が半々です。
今回の寄稿先は皆さんお馴染みの雑誌です。発売前に詳細をしゃべると編集部に叱られる(?)ので、今日の時点では曖昧なことしかお伝えできませんが、毛色と遺伝に関する話です。
その稀有な毛色を持った一族は、もしかしたら特別な競走能力があるのかもしれない?? という内容です。
……が、おっと! これを書いているさなか、今回の原稿のヒロインがアルテミスSを!!! (←おしゃべりな私は黙っていられなくなりました)
よかったら読んで下さいね。たくさん売れても私には利益はないのですが(笑)。
(2020年10月31日記)
今日、見本誌が届き、我が原稿を綺麗にデコレーションして下さった編集部には敬服します!
明日発売の 『サラブレ』 12月号に寄稿した 「白毛一族に秘められし未知なる力の可能性」 と題した記事です。よろしくお願いします。
(2020年11月12日追記)
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