ロードカナロアという新ブランド

以前書いた「ディープインパクトのブランドに依拠する社台グループの課題」や 「ブランドに振り回される生産界」でも触れたとおり、 ディープインパクトの種牡馬としての現在の市場価値は、そのブランド力の増強操作に拠るところが大きいと思います。

私は海外向けのツイッターアカウントも持っているのですが、以前そこに「ディープインパクトの優秀産駒は総じて母系(ファミリー)が優秀ということ」と書いたことがあります。 すると、早速海外から「母が優秀ではないディープインパクトの活躍産駒はいる」というような返信を頂戴しました。 「母は優秀でなくとも、そのファミリーには優秀馬がいる例が殆どですよね?」とその時は私は改めて回答しましたが、 そんな反応が即座に海外から来ることに私は「ディープインパクトのブランドはワールドワイドに確立されたんだな……」としみじみ思ったものです。 日本人の私が日本の馬についてネガティブなコメントを書くと、それは違うと直ぐに海外から返信が来る……これって或る意味で凄いことだと思いませんか?

しかし、社台グループにとって、いつまでもディープインパクトのブランドに頼ることはできません。 一定のブランド力を維持できる新たな種牡馬の選定が緊急課題だったでしょうが、先日発表された1500万円という種付料が示しているとおり、 (サンデーサイレンスの血が入っていない)ロードカナロアがその筆頭となってきました。

例えば、社台グループを芸能プロダクションに見立てると、自らの売り出し中のタレントを如何にトップスターに育て上げるかが課題です。 最近の海外のツイートを見ていても、ロードカナロアの株がウナギ登りの気配ですが、この勢いを利用して、 この馬の種牡馬としての人気底上げの水面下の激しい動きがあっても不思議ではありません。 ということで、今日のジャパンカップは、何が何でもアーモンドアイを勝たせに来るのではないか?

実は、私は昨日、「日本のリーディングブリーダーたる社台グループはロードカナロアのブランド力増強に躍起になっていると思う。 そのようなポリティカルな視点で明日のジャパンカップを眺めて頂きたい」と海外にツイートしました。 すると、真っ先にトルコの関係者(Turkish Bloodstock)から反応があったのが印象的でした。

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以上は今日の午前中に予定稿として準備していたものであり、午後から府中に出かけて、先ほど帰宅しました。結果はご存知のとおりです。

年度代表馬確定のこの天才愛娘のお蔭で、プロダクションの余計なサポートなどなくとも、種牡馬ロードカナロアのブランド価値は世界的に高騰の気配です。 ただ、依然種牡馬の影響力を偏重する競馬サークルですので、その評価が過剰に上昇しすぎていないか、特に生産者は冷静な眼を持つ必要があるでしょう。

それにしても、今日は府中の正面スタンドで、「LONGINES」のロゴが入った電光掲示板の「2:20.6」という数字を見て、思わず体が震えました……。

(2018年11月25日記)

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