拙著『サラブレッドの血筋』第3版の発行に際して

前版の第2版を発行したのが2017年の9月ですから、3年半を経てようやく第3版の原稿が完成し、製本発注を致しました。 間もなく販売を開始できると思いますが、これに先立ち、いろいろと自分なりに思ったこと、購入を希望される方々には先ずはご理解頂きたいことを、 以下に書かせて頂きます。

販路について

既版はアマゾン経由と我がウェブサイトからの直販の2本立てとしていましたが、第3版からアマゾンは介さないこととしました。 理由は「自費出版の裏話」に書いたとおりです。 もうひとつの理由として、あのような通販サイトでは匿名の消費者が自由にレビューを書き込みますが、 根も葉もないことを書かれることにはさすがに耐えられないというのも率直な気持ちです。

また、我がウェブサイトから直接購入の方には内容に納得できたら後払い、納得できなかったら返品をお願いしていました。 しかし、性善説にも限界があり、発送したもののその後は無反応……という例が残念ながらありました。 このような自費出版は確かに好きでやっていることではありますが、ボランティアでやっているわけではありませんので、 よって、今後は入金確認をしたうえで発送させて頂くことにしました。ご了解頂ければ幸いです。

値段について

これも「自費出版の裏話」に想いを書きました。 例えば こちら は第3版からの抜粋ですが、ここに挿入している表は3年間地道に集めたデータを凝縮しています。 しかし、これを解読することに興味のない人にとっては全く無用のものでしょう。 つまり、例えば時間をかけ心血注いで書いた5ページの論文と、売れっ子ライターが短時間で一気に書きあげた5ページの記事は全く異質なものだということです。

確かに拙著の今般の内容で今般提示させて頂く値段は高いかもしれません。しかし、あくまで少部数の自費出版ということで、 1冊当たりの製本原価は、出版社が量産する書物とは比較にならないこともご理解頂ければ嬉しいのです。

さらに、私は獣医師ではありますがオフィスに勤務するサラリーマンであり、この3年近くの帰宅後の晩は、そして週末は朝から、拙著の原稿作業に大半の時間を費やしました。 伊豆の温泉への友人たちとの1泊旅行の際は、東海道線の車中のみならず、待ち合わせの時間までの空き時間は伊東駅前の喫茶店で樹形図の校正作業をしていましたし、 毎年正月早々からコーヒーショップで原稿を書いていたことも今では懐かしいです。 そんな自分に対するご褒美に加えて、次の版に向けた運転資金も今回の値段には若干上乗せさせて頂きます。

内容について

よって、本当に拙著の内容に納得して下さったならば、購入して頂ければと思うのです。 樹形図は別にして、科学的論述部分は、実は我がウェブサイトに連載しているコラムに既に書いたこととも少なからず重複しており、 つまり毎週書いているコラムは、拙著の原稿に盛り込むべき内容の下書きや備忘録のような意味合いがありました。 樹形図を入手したい場合やこちらのデータの解析に関する論述部分などは拙著を購入頂かなければなりませんが、 このような高価なものに手を出さなくとも私が主張する科学的論点については、コラムを読んで下されば十分にご理解頂けます。

第3版は全630ページのうち大半の515ページが母系樹形図という構成です。 なお、初版および第2版で掲載した父系の樹形図はこの第3版では掲載しておりません。 理由は、母系樹形図のページ数がかなり増えたことに加えて、サラブレッドの能力の科学的探究において「父」を論ずる意義はあるものの、 「父系」を論ずる意義はないと判断したからです。

以前、購入希望のメールを頂戴して早速発送したところ、樹形図ばかりとは思わなかったと言われて返品されたこともありました。 確かに拙著は書店等で中身を確認できるわけではなく、よって、本ウェブサイトのサンプルページ等をご覧頂き、 それでも不明な点はメールでご質問を頂戴できればと思います。

いつだったか、拙著がヤフオクに出品されていたのにはビックリ仰天しましたが、拙著の内容は多分その出品者の予想していたものと違ったのでしょうね。 もしも私が落札したら、出品者はさぞかし驚いたでしょう……。

また、拙著の論述部分は和英併記としております。その意図は「拙著『サラブレッドの血筋』に託す想い」に書いたとおりです。

最後に

求む校閲ガール!」でも書いたのですが、拙著は他者に校閲作業をお願いしていないこともあり、 どうしても自分で書いた言葉や文章には変な意味での「慣れ」があり、誤記・誤植を見落としてしまうことがあります(またまた言い訳……)。 よって、訂正箇所や補足箇所が見つかった際は随時このウェブサイトに掲載します。 そんな細々とした家内制手工業のごとく拙著は発行していることをご理解頂ければ幸甚ですし、何卒よろしくお願い申し上げます。

(2021年3月11日記)

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