遺伝学的にも興味深いシラユキヒメの白い一族(その4)

先週の桜花賞、ソダシが真っ白な馬体を躍らせて先頭でゴール板に飛び込みました! 白毛のクラシック馬の誕生です。

ソダシは前走の阪神ジュベナイルフィリーズではゲートを嫌ったため、今回の桜花賞では先入れとなりました。 一方、同じ母系のメイケイエールは前走のチューリップ賞を勝つには勝ったものの(エリザベスタワーと同着)、 鞍上の指示に全く従わない稀代の癖馬ぶりを発揮し、さらに桜花賞でも一向に改善せず予想どおりに暴走し、 その競走能力とはかけ離れたまさかのしんがり負けとなり、さらには銜(ハミ)受け不良で調教再審査というおまけまでつく始末……。

なんとも賑やかなシラユキヒメの一族ですが、これもこの一族固有の遺伝子に拠るものなのかとも思ってしまったのです。 この一族については「遺伝学的にも興味深いシラユキヒメの白い一族」と題したものを その1その2その3 と書いてきましたが、 そこで述べてきたとおり、この母系には生物学的に得体の知れない「何か」があるような気がしてならないのです。

こちら でも書きましたが、一昨年の凱旋門賞を勝った Waldgeist の母系や 18 族の Lava Gold という1994年米国産牝馬の母系のように、 過去はほとんど繁栄がなかったのに突如活躍馬を多数出し始める系統は、ミトコンドリアの遺伝子は核の遺伝子よりも変異率が10倍程度高いと言われることからも、 もしかしたらこれらの母系には突如有意な変異が入ったのではないか?……などと思ってしまうのですが、そうなんです、ふと、 シラユキヒメの母系もなんとなくこれら母系とどこか似ているなとも思ってしまったわけで。 拙著『サラブレッドの血筋』に掲載の母系樹形図は今世紀(2001年以降)生まれのGI馬を網羅していますが、 ソダシの母系たる 2-w 族は こちら のとおりまさしく一本杉であり、現時点で枝葉が全く伸びていませんが、今後は一気に繁栄??

確かにアーモンドアイがいるGI馬満員御礼の Best in Show の系統などのポテンシャルはすごいと思うのですが、他方、 繁栄がなかったが突然GI馬を出し始める母系も得体の知れない威力があるような気がしてならないのです。

ところでソダシの血統表を眺めてみると、父クロフネ、母ブチコ、母の父キングカメハメハ、母の母シラユキヒメが全て金子真人氏の所有馬であったことに驚かされます。 金子氏といえば、この短期間にキングカメハメハ、ディープインパクト、マカヒキ、ワグネリアンと4頭もの所有馬がダービーを獲ったことに運が良いという人もいるかもしれませんが、 しかしです、果たしてそれは運なのでしょうか? 偶然にしてはあまりに打率が高すぎませんか?  さらには、ソダシに見るような自らが所有した血で固めた馬がそう簡単にクラシックなど勝てないような気がするのです。 その2 にも書いたように、この白毛一族の多くは金子真人氏が依然として所有していることも含めて、 生物学者とタイアップしているのか、それとも金子氏の科学的造詣は相当深いものがあるのか……どうもそんな気がしてなりません。

あらためてソダシの桜花賞制覇に話を戻せば、クロフネ産駒初のクラシック馬ということになりますね。クロフネはクラシック血統ではないというような声も以前は聞きましたが、 そんなクロフネに勲章を与えたこの母系の血にはやはり「何か」があるのではないでしょうか?

そしてそして、癖馬メイケイエールの次走はどうなるんでしょうか??  あの気性が災いして今後の競走成績がパッとしなくとも、繁殖に上がったら 2-w 族の枝葉を伸ばす期待が膨らむことは間違いありません。 ただ、この馬はすでにサンデーサイレンスの3×4ということもあり、個人的にはできる限りのアウトブリーディングを願いたいですが、 まだ3歳のピチピチの現役なのにこんな話は時期尚早でしたね。

(2021年4月18日記)

遺伝学的にも興味深いシラユキヒメの白い一族(その5)」に続く

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