2024年セレクトセールの落札額3億円以上の馬の母系(その1)
財布にあるドラッグストアのポイントカードを眺めると、むなしくなる2日間が今年も過ぎ去っていきました。
今年のセレクトセールの落札総額はまた更新して289億円超とのこと。
昨年は こちら で落札額3億円以上の馬の母系の解説をしましたが、今年も落札額3億円以上馬の母系を解説してみます。
なお、昨年以上に長くなりそうなので2回に分け、今回は(その1)として1歳馬、次回の (その2) は当歳馬について書きます。
以下の各々にリンクを張った樹形図中の下線を付した馬は今世紀生まれのGI馬、太字は違う種牡馬を相手に複数のGI馬を産んだ牝馬です。
@デルフィニアの2023
まずは1歳の最高落札額(5億9千万円)の馬から。今年もキタサンブラック産駒は人気で、
この馬に加えて以下のAおよび当歳の最高落札額馬「セリエンホルデの2024」がキタサンブラック産駒です。
母デルフィニアは愛国産の Galileo 産駒でGI2着2回の実績があります。
その母(つまり落札馬の祖母)は こちら の水色の Again で、愛1000ギニーを含めたGI2勝です。
祖母がGI馬で周囲にもそこそこGI馬はいますが、5億9千万まで吊り上がったのは、よっぽど馬体や身のこなしにずば抜けたものがあったのでしょうか。
仮にそうだとしても、まだ1歳の夏の段階でこのような値がつくこと自体が異常な気がしてなりません。
Aアスコルティの2023
1歳の高額落札2番手(4億円)もキタサンブラック産駒で、今回の3億以上馬の中では唯一の牝馬。
こちら のとおり、半姉が阪神JFを勝ったアスコリピチェーノ(父ダイワメジャー)になります。
祖母リッスンは、こちら にも書いたとおり、愛国産で英GIフィリーズマイルの勝馬であり、
今回のセレクトセールには同馬(アスコルティの2023)から見たら歳下の叔父になる当歳のリッスンの直仔(父エフフォーリア)も上場され、1億2千万で落札されました。
Bコーステッドの2023
3番手は3億9千万円のこの馬(父エピファネイア)で、こちら の水色がこの馬の5代母。
母コーステッドはGIは2着まで、祖母および曽祖母も勝ちはGUまでなので、樹形図では他の高額落札馬に比べるとちょっと寂しさがあります。
しかし、樹形図には現れないものの、コーステッドの仔にはGIでは惜敗続きのダノンベルーガもおり、
馬体等も卓越していたのか、@とともにリザーブ価格は最高に設定されていました。よって、ここまで値が吊り上がったということでしょうか。
ちなみに当歳の半妹(父サートゥルナーリア)も上場されて、時の人たる藤田晋氏が1億7千万で落札しました。なお こちら に、
エピファネイアやサートゥルナーリアと輸入牝馬との配合のほぼ全てはサンデーサイレンスのインクロスにならないことを書きましたが、この両馬および以下のCDも同様です。
Cイーヴンソーの2023
4番手のこの馬は3億4千万で藤田晋氏が落札。父はBと同じくエピファネイア。母イーヴンソーは愛オークス馬で こちら の黄色。
近親とまではいきませんが、ディープインパクト産駒で英2000ギニーを含めたGI2勝の Saxon Warrior の名も見え、周囲にはそこそこGI馬の名があります。
Dコンペティションオブアイデアズの2023
5番手の3億3千万のこの馬も、父はまたまた同じくエピファネイア。
母コンペティションオブアイデアズはアメリカンオークス馬で こちら の黄色。
次回の (その2) で紹介する「アーモニーズエンジェルの2024」は、ご覧のとおり同母系となります。
Eカレンブーケドールの2023
6番手の3億1千万のこの馬も父エピファネイア。
つまり、1歳の高額落札1番手と2番手は父キタサンブラック、3番手から6番手までは父エピファネイアということであり、いろいろと言いたくなるものもありますが、
ここでは控えます。母カレンブーケドールはわれわれとして馴染み深いのは言わずもがなであり、GIは2着が3度あるものの勝てずじまいでした。
その母(つまり落札馬の祖母)は こちら の水色のソラリアであり、GI3勝のチリ産というのが特筆でしょう。
ご覧のとおり、この牝系はまさしく南米で伸びている系統です。
なお、樹形図ではソラリアの下に見える Ooty というアルゼンチン産の牝馬は今年5月の現地GIを勝ったのですが、
アルゼンチンのGIを勝った牝馬は日本行き決定とも言われているようであり、果たして?
(2024年7月13日記)
「2024年セレクトセールの落札額3億円以上の馬の母系(その2)」に続く
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