我が母系樹形図(その4)

新たにGIを勝った馬の我が母系樹形図への加筆を続けていますが、先週末は宝塚記念を含めて世界で 20 もGIが開催されたので、加筆が大変でした。 既にGIを勝っている馬が新たにGIを勝った場合を含めて、レース終了後には迅速にその馬の樹形図を 我がウェブサイトの英語版 の方にアップロードしていますが、今回は、今月のGIを勝った馬の中から、 ちょっと気になった馬の母系をピックアップしてみたいと思います。

まずは、英オークスを勝った Tuesdayこちら に書いたとおり、ディープインパクトの数少ないラストクロップの1頭の母でもある姉のマインディングは、 英オークスを含めてGI7勝の超名牝ですが、1歳上の姉 Empress Josephine も愛1000ギニーを勝ったGI馬であり、これら3姉妹は全て父 Galileo です。 (マインディングと Empress Josephine については既に「我が母系樹形図(その1)」で触れました)

そして、ロイヤルアスコット開催のゴールドカップを制した Kyprios も Galileo 産駒です。 私の樹形図では、違う種牡馬を相手に複数のGI馬を産んだ牝馬は太字にしており、よって、Tuesday 等の母である Lillie Langtry は太字にしていませんが、 Kyprios の姉のGI馬 Search for a Song は同じく父 Galileo である一方で、兄のGI馬 Free Eagle は父が High Chaparral であることから、 母 Polished Gem は太字です。

ここで私がまた何を言いたいかを察して下さった方もいると想像しますが、言いたいことは既に こちら に書いたとおりですので、 繰り返しは避けます。……が、やはり黙ってはいられず(笑)、この Kyprios は、なんと Galileo 産駒における 95 頭目のGI馬とのことであり、 まさに「Galileo の血に埋没する欧州」という構図が加速度をつけて現実味を帯びてきました。

ディープインパクト産駒のGI馬の母系(近親)にどれだけGI馬がいるかについてリスト化したものを、 我が解説文を添えて拙著『サラブレッドの血筋』の第3版には掲載しました。 そのリストをアップデートしたものが こちら の中の表(※1) ですが、これと同様に、 100 頭近い Galileo 産駒のGI馬の母系(近親)の状況を調査し、拙著の次版(第4版)で解説しようと考えています。発行はまだ先ではありますが。

ちなみに、ロイヤルアスコット開催のセントジェームズパレスSを勝った Coroebus とプリンスオブウェールズSを勝った State of Rest は、 こちら のとおり同じ母系でした。このように縦長になる樹形図は、GI馬を多数出している牝系であることを意味します。

フェブラリーSを連覇した父 American Pharoah のカフェファラオ。その姉 Regal Glory は父がアニマルキングダムであり、 ジャストアゲイムSを勝ってGI3勝となりました。当然に母 Mary's Follies は太字です。 弟は日本でダートのGIを2勝、姉は米国で芝のGIを3勝というのが興味深いですね。 こちら は拙著の第3版からの抜粋ですが、ここに書いたとおり、 クリソプレーズが産んだマリアライトとクリソベリルという父親が違う姉と弟にも相通ずるものがあります。

昨年の桜花賞ではメイケイエールの暴走に大きな不利を受け大敗、次走のNHKマイルカップでは鼻差の2着に涙を飲んだソングラインでしたが、 とうとう安田記念を勝ちGI馬となりました! この母系は こちら の冒頭に書いたB3族、 つまりブリティッシュナンバーであり、1969年に英国の半血種(つまりサラ系)がサラブレッドに認められたものです。 なお、日本ダービーがGIとして国際格付を得たのは2010年であるため、ロジユニヴァースは海外ではGI馬とは見なされず、よって残念ながら樹形図には加筆しておりません。

ソングラインの主戦騎手は池添Jですが、昨年の桜花賞で煽りを食わされたメイケイエールの現在の主戦も池添J。 こちら に書いたとおり、メイケイエールを我が樹形図に加筆することを願ってやまず、池添J殿、続けてよろしくお願いします……。

(2022年6月27日記)

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