ディープインパクト産駒の二枚看板種牡馬
先月の皐月賞はキズナ産駒のジャスティンミラノが快勝しました。
キズナの活躍産駒については「日本の生産界はこのままでいいのだろうか?」で触れましたが、このような状況下、先日SNSで、
今年はキズナがリーディングサイヤーになるかもしれない旨のコメントを見かけました。現時点では一応リーディングの座にいるようですね。
ところで、こちら ではサートゥルナーリアの昨年の交配におけるサンデーサイレンスのインクロス状況、
また こちら ではエフフォーリアの状況を書きましたが、今般キズナも こちら のように調べてみました。
サンデーのインクロスの数は上記2頭に比べればかなり減り、交配総数152のうち35例(=23%)に留まり、そのうち3×3が12例、3×4が23例でした。
他方、どれだけの輸入牝馬(持込らしきものも含む)を相手にしているかということでは、サートゥルナーリアの66/201(=33%)、
エフフォーリアの45/198(=23%)に対して、キズナは94/152(=62%)と過半数ということも見逃してはなりません。
キズナはサンデーの孫。
日本の生産界はサンデーの孫があふれており、可能な限り3×3を避けようとすれば当然に、交配相手に輸入牝馬がタナボタ式に多くなることは否めないでしょう。
そして、初年度産駒が来年にデビューするコントレイルは、キズナと並んで現在の社台スタリオンステーションにおける種付料1000万円超のディープインパクト産駒の二枚看板。
ということで、この馬の当該状況も こちら のとおり調べてみました。
結果は、交配総数201のうち、サンデーのインクロスは46例(=23%:キズナと同率)で、そのうち3×3が7例、3×4が39例でした。
また、輸入牝馬(持込らしきものも含む)を相手にした数は139/201(=69%)であり、キズナよりも高率です。
「天下無敵のブランド(その2)」に書いたように、種牡馬のEI(アーニング・インデックス)は交配牝馬の質に大きく左右され、
また「プロダクションの深遠なる戦略」にも書いたように、その種牡馬を売り出そうとする組織の力や方針も大きく影響します。
キズナはとりあえず順調に優秀な産駒を出しつつありますが、コントレイルはそれに続くことができるのか?
上記リスト中の交配相手には多くの女傑の名があり、それはあまりに華々しく、タレントの売り込みに並々ならぬ投資をするプロダクションを彷彿させます。
しかし、もしも、本当にもしも、このようなものすごい交配相手ながらも産駒が鳴かず飛ばず続きであったなら、大変なことになるでしょう。
「父系」に書いたとおり、サラブレッドの能力の科学的探究において「父」を論ずる意義は当然にあるものの、
「父系」を論ずる意義は見出せないと私は考えているので単なる余談とはなりますが、
キタサンブラックおよびイクイノックスの出現による10年前には予想もできなかったブラックタイドの父系の台頭の一方で、
その全弟たるディープインパクトの父系はどうなるかといったところでしょうか。
また、ふと思ったのですが、キズナもコントレイルもノースヒルズの生産馬でしたか。
(2024年5月2日記)
コントレイルの産駒が鳴かず飛ばずであったなら大変なことになるでしょうと書きましたが、
イクイノックスの交配相手もすごい牝馬ばかりと思われ、こちらについても同様でしょう。
(2024年5月3日追記)
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